法人破産・会社破産のメリット・デメリットとは?
法人破産というとネガティブな印象を持ちがちですが、新たな人生の第一歩だということも忘れてはいけません。ここでは、法人破産のメリットとデメリットの両方を紹介します。
法人破産・会社破産のメリット
まずは、法人破産を行うことで得られるメリットを3つ紹介します。
すべての負債をゼロにできる
法人破産を行うと、すべての借金がゼロになります。これまでの資金繰りや債権者からの取立てに苦しむことがなくなるため、金銭面はもちろん、精神的な負担からも解放されることが大きなメリットです。
民事再生やリスケジュールといった手段をとる場合は、破産のように借金がゼロになることはありません。将来にわたって分割で支払うなど、負債は残りますので、ゼロからスタートできることは破産特有の特徴といえるでしょう。
法人破産をしても事業は続けられる
法人破産を行うとその会社は消滅するため、事業を続けることはできません。しかし、破産後に別の会社を立ち上げ、その会社で同じ事業を再び行うことは可能です。破産手続きと並行して準備を進めれば、スムーズに新会社の立ち上げを行うこともできるでしょう。
また、いったんは解雇した従業員や、前会社の取引先との関係が良好であれば、再び一緒に仕事をすることもできます。
ただし、新会社立ち上げにあたり、事業の引継や取引先の紹介などを前会社から無償で行ったことで、否認権行使に至った事例もあります(※)。破産会社の財産はできる限り債権者に分配されるべきものであり、債権者の利益を侵害してはなりません。個人の判断で引継などは行わず、弁護士に相談しましょう。
※(PDF)危機時期にある会社との取引における留意点:大江橋法律事務所 より(https://www.ohebashi.com/jp/newsletter/NL_Restructuring_Debtmanagment_201906-P5-7-Doi20190611.pdf)
稼いだお金を自由に利用できる
破産を先延ばしにすると、その後いくら利益が出ても、将来的に破産をするとなればその利益はすべて債権者に分配されてしまいます。新事業を起こすのであれば早ければ早いほど、得た利益を自由に使うことができるため、破産の決断は早めにするほうが良いともいえます。
法人破産・会社破産のデメリット
借金から解放される反面、法人破産には以下のようなデメリットもあります。
代表者も破産が必要になることがある
規模が小さい会社の場合、会社の代表者が連帯保証人となっているケースが多々あります。法人破産を行えば、債務の支払いは連帯保証人の義務となるため、支払えない場合は代表者も破産せざるを得ないということです。
代表者が破産を行うと、個人の預金や不動産、生命保険などが換価され、債権者へ分配されることとなります。手元に残るのは、自由財産といわれる現金99万円のみです(※1)。
ただし、連帯保証人となっている債務の額が少額で支払える場合や、債権者が分割払いに応じてくれるなどの場合には、破産をする必要はありません。
※1 参照サイト:e-Gov(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=416AC0000000075)
会社が消滅し、従業員の解雇が必要になる
破産を行うと同時に会社は消滅するため、従業員を解雇する必要があります。会社がなくなることで従業員は職を失うことになるため心苦しいですが、なるべく円満に終わらせられるよう、通知するタイミングなども弁護士と話し合っておきましょう。
従業員がついてきてくれるのであれば、新会社で再び雇用契約を結ぶこともできるでしょう。
破産後しばらくは融資を受けられない
会社が破産すると代表者の信用情報に傷がつくため、再度会社を起こそうと思っても融資を受けられない可能性が大きいです。新会社立ち上げなどで資金が必要な場合は、金融機関からの借入れ以外の方法を検討する必要があります。もしくは、別の人に社長になってもらうなどの選択肢もあるでしょう。
昨今ではクラウドファンディングを活用した資金集め等も可能になってきているため、融資を受けられなくても再起することは十分できるでしょう。
破産手続き中は裁判所への出廷が必要
破産手続きの開始から終了までは、およそ3カ月〜1年くらいです。その間、2カ月に1回程度は裁判所へ出廷する必要があります。とはいえ、破産管財人が行っている業務確認などがメインであり、時間も1時間程度なのでさほど負担に感じることはないでしょう。
裁判所の手続きは平日に行われるため、新たな仕事をはじめている場合には、職場にあらかじめ事情を伝えておくことも大切です。
まとめ
法人破産にはメリットだけでなくデメリットもありますが、破産後に別会社を起こして再起を図ったり、新たな仕事についたりすることで、人生を再スタートできることには間違いありません。
破産を決断できず二の足を踏んでいるのであれば、まずは無料相談だけでも行ってみることをおすすめします。法人破産の経験が豊富な弁護士であれば、思ってもみなかったアドバイスがもらえるかもしれません。