法人破産での個人の財産についてのQ&A
会社が破産したら、経営者個人の財産はどうなるのでしょうか。ここでは、会社破産をした場合の代表等の財産や資産について、Q&A方式で解説します。
生活上必要な財産については、法律上差し押さえが禁止されています。
そのため、家具や家電はもちろん、寝具や台所用品、衣服、建具などが張り紙をされたり、処分されたりすることはないので安心してください。
家財道具を裁判所や弁護士が自宅まで確認しにいくことも、基本的にはありません。
リスケとは、簡単にいうと返済スケジュールを見直す(リスケジュール)ことです。
業績不審等で返済が困難になった場合、しばらくの間利息のみの支払いにしてもらい、改善したのちに元金の返済も再開するという内容です。
自己破産を行う前にリスケを行う会社も多いですが、自己破産前に必ずしもリスケを行わなければならないわけではありません。
リスケを行ったことで、ただちに任意売却や強制売却を迫られることはありません。
しかし、借入先の金融機関と今後の返済計画を進めるうえで、人件費の削減等とともに自宅の売却も提案されることは少なくありません。
自宅を残せる場合もありますが、リスケをお願いしている時点で売却を拒否することは難しいかもしれません。
例えば、自宅に多額のローンが残っている場合、金融機関が競売にかけて自宅を売却してもその代金は住宅ローンの返済にあてられてしまうため、自宅の売却を求められることは少ないでしょう。
また、自宅を売却したことによって生活費の上昇が見込まれる場合(家賃の発生など)、経営者の報酬を削減できなくなることにつながります。
そうなれば、経営者の自宅を売却することは金融機関にとってメリットがなくなるため、必ずしも売却という選択にはならないかもしれません。
代表者が会社の連帯保証人になっている場合、会社の債務を個人的に支払うことができなければ同時に自己破産を行うことになります。
会社の負債を代表者が個人的に支払える場合や、債権者が分割払いに応じてくれるなどした場合は破産をしなくてよくなります。
また、破産者に特段の資産がない場合、債権者にとってのメリットがないため、破産手続きを求めてこないこともあるでしょう。
会社が破産しても経営者の破産は必須ではないため、ケースに応じて弁護士に相談を行いましょう。
会社を破産させる場合は、すべての財産や資産を換価(現金化)し、債権者へ平等に分配するのが原則です。
一部の事業を親族等に引き継ぐこともできなくはありませんが、その場合は適正な価格で売却するなど、きちんとした手続きを踏む必要があります。
破産手続きは公平に行われるべきものなので、後から不平等な行為が発覚した場合、厳しい処分を受けることもあります。
会社の一部を残したい場合は、弁護士に相談のうえ慎重に行いましょう。
弁護士に自己破産を依頼してからの1カ月程度は、さまざまな手続きに手間と時間を要するため、仕事をする余裕はないでしょう。
それ以降で、書類の準備や従業員への対応などが落ち着けば、仕事を始めても問題ありません。
ただし、手続き中は何度か裁判所へ出廷する必要があるため、あまり忙しくなるような仕事を選ばないよう注意しましょう。
年金の受給権については法律で差し押さえが禁止されているため、差し押さえられることはありません。
しかし、いったん年金が銀行口座に振り込まれてしまえばお金にかわりはないため、銀行預金としての差し押さえが可能となります。
ただし銀行預金の差し押さえは裁判で判決を取ってからでないとできないため、ただちに差し押さえられることはないでしょう。