法人破産での従業員についてのQ&A
法人破産における一番の利害関係者は、従業員といえるかもしれません。ここでは、破産申立てを行うにあたって従業員にどう対応したら良いかをQ&A方式で解説します。
破産をすれば会社はなくなるため、残念ながら従業員も解雇せざるを得ません。
事前に説明を行ったうえで、解雇通知書をお渡しすることとなります。
基本は廃業と同時に解雇となりますが、破産手続きに必要な事務を経理担当などに協力してもらいたい場合は、解雇後にアルバイトなどで破産準備を手伝ってもらうなどの方法もあります。
また、従業員が失業保険の申請をスムーズにできるよう、早急に雇用保険被保険者資格喪失届と離職票を作成し、ハローワークへ提出しましょう。
法人破産では弁護士が介入するタイミングで従業員が解雇となります。あらかじめ解雇日を指定することは難しいため、基本的には即日解雇となるでしょう。その際に、金額にして給料の約1カ月分である「解雇予告手当」というものを従業員に支払います。また、解雇の日まで働いた分の賃金も併せて支払うこととなります。
従業員は、弁護士が破産手続きに介入する時点で解雇となるのが通常です。
ただし、規模の大きい会社など、社会的影響力の大きい法人の場合は、破産申立て後も破産管財人によって営業が継続されることがあります。
その場合、従業員はただちに解雇ではなく、破産管財人によって雇用が継続され、賃金も破産管財人から支払われることとなります。
金融機関にリスケを要請すると、まず見直しを求められるのは代表者や取締役などの経営責任者の報酬です。
基本的には減額となりますが、厳密な決まりはありません。ただし、生活が苦しくなるほど減額となると事業を継続するメリットがないため、基本的な生活費は確保できると考えて良いでしょう。
扶養家族の人数や世帯収入によっては、報酬が減額とならず維持できるパターンもあるようです。
事業内容や会社の規模によっても変わってくるため、やはリケースバイケースといえるでしょう。
従業員へ破産予定であることを早期に伝えてしまうと、債権者への情報流出などの混乱を招く可能性もあります。そのため、破産予定であることを隠すのは心苦しいかもしれませんが、できるだけ内密に進めるべきでしょう。
ただし、従業員へ給与を支払えないことは避けたいので、破産を決意したらできるだけ迅速に廃業・解雇通知を行うことが望ましいです。
従業員への未払い給与は、独立行政法人労働者健康福祉機構の「未払賃金立替払制度」によって最大6カ月、8割までの立替払いを受けられるケースがあります。
未払い給与も債務の一部のため、破産手続きによって従業員へ配当される場合もありますが、会社の財産状況によっては不可能なこともあるでしょう。
従業員の生活に負担をかけないためにも、こういった制度を利用して早めの対応を行うことが重要です。
賃金に関しては、上記で説明した独立行政法人労働者健康福祉機構の未払賃金立替払制度が利用できます。
しかし、解雇予告手当についてはこの制度は利用できないため、こちらを優先して支払うようにしましょう。
その資金も残っていない場合は、やむを得ず支払いをせずに破産手続きを進めるほかありません。
未払賃金立替払制度も手続きに3〜6カ月程度を要するため、できる限り解雇予告手当(賃金の1カ月分)は支払うことが望ましいです。
破産を行う場合、債権者に対して平等に財産を分配しなくてはなりません。そのため、一部の債権者を優先して、自らの判断で借金を返済することはやめるべきです。
破産手続き開始後の財産の管理はすべて破産管財人によって行われますが、後から一部の債権者を優先したことが判明すれば、破産管財人によって財産を元に戻すよう命令されることがよくあります。
場合によっては破産者が厳しい処分を受けることもあるため、破産を決意した時点で財産を自らの判断で処分するのはやめましょう。
破産を行えば会社はなくなるため、従業員を解雇するのが通常です。勤め先がなくなるのは従業員の生活にとって大きな打撃となるため、しっかりと説明することはせめてもの義務といえます。
弁護士事務所に依頼すれば、こういった説明も含めてサポートを行ってもらえます。