法人破産での廃業後についてのQ&A
会社が破産する場合、経営者が対応すべきことは山ほどあります。ここでは、破産手続きを進めるうえで気になることや、廃業後について、Q&A方式で解説します。
ローンが残っている場合、自動車の所有権はローン会社に留保されているのが通常です。そのため、基本的には所有者であるローン会社に引き上げられることとなります。
ただし、車検証の所有者欄が販売店や自社の名義になっている場合は、ローン会社は担保権を主張することができないため、返却要請をされても拒否することができます。
ローンがない自動車の場合、事前に見積もりをとっておき、一番高く買い取ってくれる業者へ売却します。その代金を、弁護士費用や従業員への未払い給与、事務所や倉庫の原状回復費用などにあてることも可能です。
また、適正な価格であれば、代表者が会社の車を買い取ることもできます。
すでに注文を受けている場合、スムーズに納品できるのであれば対応しても良いでしょう。
破産手続きにおいては、できる限り有利な条件で財産を換価(現金化)し、債権者にできる限り多くの配当をすることが重要です。受注している仕事を完了することが合理的であると判断できた場合は、完了させるほうが良いといえます。
ただし、破産後に事業を続けることは基本的に問題となるため、どの程度事業を続けるかは担当の弁護士に相談してください。
在庫を保管している場所が賃貸の倉庫などである場合、先に自分で処分を行うほうが良いこともあります。というのも、少額管財を利用する条件として、賃貸不動産をすでに明け渡していることが条件となっているからです。
ただし、売却処分にあたっては適正価格で行う必要があるため、価格の見積もりをとるなど客観的に適正であることを判断できる材料を用意しておきましょう。
とくに、親近者や付き合いのある業者に売却する場合、無償や廉価で譲るなどすると後で大きな問題になります。不当な財産隠しとされないためにも、在庫の処分は弁護士に相談するなど慎重に行いましょう。
なお在庫が大量にある場合は、破産申立て後に破産管財人に管理を委ねることもあります。
破産予定の場合、仕入れや受注は基本的にストップさせるのが通常です。仕入れ代金を払える保証や仕事を遂行できる保証もなくこれらを行うことは、詐欺と捉えられてもおかしくありません。
ただし、仕入先や受注先に破産予定であることを伝えてしまうと、混乱を招くリスクもあります。そのため、仕入れ品の定期便などはやむを得ず続けるなどの対応も必要になるかもしれません。
破産手続きを申立てた後は、未回収の売掛金を含め破産管財人に財産の管理を委ねます。基本的には売掛金の請求権も自由財産に該当しないため、回収後は各債権者への弁済や配当にあてられることとなります。
ただし、自由財産の拡張を裁判所に認めてもらうことで、自分で回収した売掛金を生活費などにあてられる場合があります。弁護士費用を用意できない場合などに、未回収の売掛金を回収してそれにあてることも可能です。
破産手続きは、各債権者に平等に弁済や配当を行うためのものです。個人的な理由で特定の債権者を優先して返済を行うことはできません。あとから不平等な行為が判明した場合は、債権者の利益を侵害したとみなされ、否認権を行使されることもあります。
否認権を行使されると財産をすべて元の状態に戻さなくてはならないため、かえって取引先に迷惑をかけることになるでしょう。
破産手続きは債権者へ平等に財産を配当するためのものであり、粉飾決算について問いただされたり、責任を問われたりすることは基本的にありません。
ただし、これまで必要のない税金を納めていたのであれば、修正申告を行うことによって還付を受けられる可能性があります。債権者へできるだけ多くの資金を配当するためにも、粉飾決算の内容について詳しく聞かれることはあるでしょう。
会社が倒産し、経営者も自己破産を行った場合でも、再び代表取締役や取締役になることは可能です。
2006年の新会社法の施行により、自己破産の免責が確定する前でも取締役に就任できるようになりました。破産手続きと同時に新会社の準備を行えば、スムーズに新たな人生をスタートさせることができるでしょう。